父の実家の過疎化

 私の父の実家は、藤枝市の北部の大沢という田舎の集落です。ここ数年で、この集落の人口は、激減しているそうで、今住んでいるのは高齢者が数人と聞いている。その中の一人は、父の兄である、現在80歳近くなる。この集落の中に居ると、 20年位前に読んだ小松左京の『すぐそこ』という話が頭に思い浮かんでくる。あるハイカーが、山登りをしていて道に迷ってしまう。あまり人は居ないのだが偶に出会う集落の人に、県道に出る道を聞くと、『そこの細い道を下っていけば県道は、すぐそこだ。』と親切に教えてくれる。しかし、その通りに行ってみても一向に県道には出ない。農作業をしている人に聞いても、さも親切に県道に抜ける道を教えてくれるのだが行ってみるとやはり県道には出ない。かくしてハイカーは、この集落から抜け出ることができぬままここで、妻をめとり年老いていく。 こんな話を思いながら父の兄の顔をふと見る。『そういえば、前から思っていたがこの人、父に似たとこが一つもないが、もしかして・・・。』

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