先日、テレビを観ていたら河口湖町御坂峠の『天下茶屋』で、コメディアンの竹田君が、
ほうとうを食べていた。
私は驚いた。竹田君の不細工な顔にではない。天下茶屋が、平成の時代に
営業してたからだ。
天下茶屋は、太宰治が、井伏鱒二の紹介で夏の時期に滞在して
『富嶽百景』など名作を執筆した茶屋だ。
これら事から今は、もうこの茶屋は無くなっているものと私は、勝手に思っていた。
これを観ていた妻が、太宰など読んだこともないのに、『行こう。』と言った。
まさに鶴の一声。早速残雪がかなり残っている御坂峠を車でぐるぐる登っていった。
御坂峠は、思ったより高い場所に在った。
車を降りて外を見ると、眼前に富士山、下を見下ろすと河口湖が、一望できる良い眺めである
この景色を暫く眺めていたらふと思った。『もし太宰治が東京に帰らず
この河口湖の、のんびりした景色を見ながらここで暮らしていたら、
自殺などしなかったのではなかったのだろうか。』などと勝手に思ってしまう。
しかし、もしそうなったらあの名作中の名作『人間失格』
は生まれて来なかったかもしれない・・・・・・
峠を降りて、太宰治を偲びつつ、ほうとうを食べ帰路についた。